
京都大学の学生を中心に、大学や国籍、性別を問わず誰でも受け入れるインカレサークル「京大銭湯サークル」。現在の実働メンバーは約80人にのぼり、毎週月曜日と土曜日の営業終了後の深夜0時半頃から大学近くの「東山湯」へ集まり、みんなで清掃活動を行っています。

深夜の静けさの中、汗を流しながら黙々と、そして時に和気あいあいと浴室を磨き上げ、掃除を終えた後は貸し切りのお風呂に入って一息つき、みんなで交流を深めます。ただお風呂に入るだけでなく、銭湯の支え手として関わることで生まれる達成感や特別感、そして「寂しい時や眠れない夜でも、行けば誰かがいて受け入れてもらえる」という心地よい安心感が、一人暮らしの多い学生たちにとって大切な「居場所」となっています。

サークルに入るまで銭湯に行ったことがなかったという学生も少なくありません。他府県から京都に出てきて初めて銭湯の大きなお風呂に入り、その開放感や居心地の良さ、歴史に魅了された体験が、サークル活動の原点になっているメンバーもいます。
銭湯に馴染みのない学生にも気軽に足を運んでもらえるよう、「ご飯を食べてそのついでにお風呂へ行こう」といったハードルを下げる工夫を取り入れ、「銭湯はレトロな過去のもの、入りづらい場所」という固定観念を捨て、まずは1回体験してもらうことを大事にしています。手ぶらでも気軽に訪れることができる魅力を発信し、若い世代と銭湯とをつなぐ最初のきっかけづくりに注力しています。また、サークル同士のネットワークを活かし、関西圏の他大学のサークルとの交流やイベント企画、他地域の銭湯イベントへの参加などを通じて、銭湯文化の面白さを広めています。
銭湯は、地域にとってかけがえのない空間です。サークルのメンバーたちは、清掃ボランティアや情報発信などを通して、高齢化や人手不足に悩む銭湯の現場を支えています。
「ただの利用者ではなく、銭湯を支える側である」という自覚と愛着を持つ学生たち。学祭でのグッズ販売や日常の活動を通じ、「いつでも誰でも来ていい場所」としての銭湯の価値を広く社会へ伝え続けています。若い力が伝統ある銭湯に注ぎ込まれることで、まちの歴史とゆるやかなコミュニケーションが、次の世代へと確かに受け継がれています。